1.  “成長”をアップデート

この10年間大阪経済は成長したのではなく、リーマンショックから回復しているだけ。しかも全国と比べて回復は鈍い。

<図1>域内総生産の推移(名目、2006年=100)

(データ)内閣府・経済社会総合研究所
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_2018.html

コロナ禍によってインバウンド頼みの成長戦略は破綻。

世界水準を超える大阪の創出

  • 大阪を、環境・社会・企業統治において世界水準を超えるESG(※用語解説)先進都市に―日本中・世界中から本社を移したくなる環境を整備する。
  • 役所の調達にESGの視点を取り入れる。

大阪の強みや魅力を活かす成長

  • インバウンド頼みではなく、ものづくりや商いの伝統、若者の新しい動き、文化・歴史・芸術・スポーツなど大阪にある資源をあますところなく活用した持続可能な成長を創出する。
  • 大阪にある資源を「うめきた」のナレッジキャピタルをはじめとする知識情報拠点につなぎ、新産業創出の基盤とする。

域内循環型の経済の創出

  • 府内の近郊農業や漁業と都市部をつなぎ、地産地消の循環型経済をつくる。
  • エッセンシャルワーカー・ケアワーカーの処遇改善、中小企業の賃上げ支援、地元商店街の活性化で、大阪で循環する経済をつくる。
  • オンラインワークに対応した労働環境を整備する。

アジアとともに成長

  • アジアの成長を取り込む、アジアと世界をつなぐ「アジアゲートウェイ」をめざす。

オール大阪でめざす成長

  • 府市・企業・大学などが参加した「大阪経済ラウンドテーブル」を立ち上げ、大阪経済飛躍ための方策を考える。

2. 夢洲の未来をアップデート

大阪IR・カジノ

際限のない公金支出、疑問のある採算性、地盤沈下・災害の危険性、賃料決定の疑惑 →問題が多すぎる。そもそも情報開示も極めて不十分で住民合意がなされていない。

<図2>夢洲の地盤に関する課題

川嶋広稔大阪市会議員作成

カジノ予定地の土壌汚染対策費は約790億円。今後地盤沈下対策で大阪市負担がどこまで増大するか不明。

2025大阪・関西万博を成功させ、世界に大阪の魅力を発信する

大阪IR・カジノは住民の総意で決定

  • 昨年4月に締結された大阪府・大阪市と事業者との基本合意書には、実施協定(案)、立地協定(案)、事業用定期借地権設定契約(案)など重要な情報が含まれているが公表されていない。あらゆる情報を住民に開示する。
  • そのうえで大阪IR・カジノについて住民の選択で決定する。

「ゆめしまビジョン」の策定

  • アジア最大の国際物流拠点に拡張整備、世界水準の展示場やSDGsのモデルなどに活用する「ゆめしまビジョン」を策定する。

3. いのちを守るまちにアップデート

大阪のコロナによる死者数は全国でも突出して多い。大阪府の人口あたり保健師数は全国46位。

<図3>人口100万人当たりの死者数

(出典:札幌医科大学の集計資料(2022年12月25日現在)より)
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan_case_death.html?a=1

人口10万人当たりの就業保健師数

(出典:厚生労働省「衛生行政報告例」令和2年度(2020年度)より)

大阪府・大阪市のコロナ対策を徹底検証

  • 大阪府・大阪市のコロナ対策を客観的・科学的に徹底して検証し必要な備えを拡充する。
  • クラスターの多発した高齢者施設での感染症対策を検証し必要な備えを拡充する。

府民・市民のいのちと健康を守る保健・医療体制を抜本強化

  • 保健所・保健師を大幅に増やして保健所体制を強化する。
  • 保健センターに保健師を配置し機能強化する。
  • 公立病院と民間病院、病院と保健所の連携を強化し府民の命と健康を守る体制を構築する。
  • 日常生活を維持していくために必要不可欠なエッセンシャルワーカー、ケアワーカーの処遇改善を図る。
  • 今後の新型感染症も見越して、府・政令指定都市・中核市の保健所の連携を強化する。

南海トラフ巨大地震 ― 今後40年以内に起こる確率90%
被害想定→死者13万人、建物全壊18万棟、経済損失29兆円、帰宅困難者最大146万人(大阪府想定、早期避難率が低い場合)

ハード面での対策の強化

  • 防潮堤の液状化対策、防潮扉・水門等の補修強化を進める。
  • 木造密集市街地対策や地下空間の水害対策を推進する。
  • 家屋の耐震化への助成強化や消防力増強で災害に強いまちづくりをすすめる。

防災減災の地域力強化

  • 情報テクノロジー(DX)を活用して災害を「見える化」し、情報提供・避難誘導などに役立てる。
  • 企業や事業者と連携した自主防災組織を育成・支援する。
  • 地域コミュニティと連携した災害時の要支援者支援システムを構築する。
  • 常設の災害ボランティアセンターを設置する。
  • 外国人が安心して暮らせる防災学習の機会を提供する。
  • ハード・ソフト両面の対策を組み合わせて、防災・減災の地域力を強化し、レジリエンス(※用語解説)を高める。

4. 子育て・教育をアップデート

大阪独自テスト(チャレンジ、すくすく)のため疲弊する学校現場

<図4>子どもたちの現状 いじめ認知件数・不登校数
いじめ認知件数(比率1000人当たり)

不登校数(在籍比率)

(データ)大阪市HP
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000517/517247/R3dokujityousakekka.pdf

府立高校の統廃合で府立高校のなくなる市町が続出(島本町、柏原市、阪南市)

子育て支援の推進

  • 幼稚園・保育所・こども園等の利用料を0~2歳児も完全無償化する。
  • 子育て負担を軽減するため、子どもが生まれれば生まれるほど、市民税等が実質的に軽減されるモデルを構築する。

子どもが輝く教育の推進

  • 大阪独自テストを廃止し、子どもの個性に応じた教育を充実する。次世代を担う子どもの教育プログラムを実践する。
  • しんどい子ども、しんどい先生、しんどい親に手が届く支援を行う。(NPOと連携して取り組む。)
  • 定員割れだけを基準とした府立高校の統廃合を見直す。
  • 小中学校の教師不足を解消するとともに、教職員の負担を軽減する。
  • 公立のミュージアムや万博を小中高生には無料にし、「本物」「先端」にふれる機会を提供する。
  • 万博などでの学習ツアープログラムを開発する。

教育費の無償化推進

  • 高校までの教育完全無償化に取り組む。
  • 学校給食を無償化する。
  • 小中学校で35人学級を早期実現する。
  • 官民で基金を創設し、未来への投資として大学進学への給付型奨学金を拡充する。

5. 暮らしをアップデート

完全失業率全国2位

(データ)「労働力調査」2021年

正規雇用率全国45位

(データ)「就業構造基本調査」2017年

生活保護率全国最多

<図5>大阪府の府民所得

(データ)内閣府 県民経済計算より

だれもがゆたかさを実感できるまちを実現

  • エッセンシャルワーカー、ケアワーカーの処遇改善、中小企業の賃上げ支援で賃金の上がる大阪をめざす。
  • ケアワークが適正に評価される社会づくりを大阪から発信する。
  • 全市町村で子どもの医療費18歳まで無償化を実現する。(所得制限、一部自己負担撤廃)
  • フードバンクや子ども食堂の活動を支援する。
  • 妊産婦の医療費助成を実施する。
  • 障がい者の社会参加を促進するため移動手段への支援やバリアフリー化を推進する。
  • ヤングケアラー(※用語解説)調査結果を基に対策を強化する。
  • 育児・介護・ヤングケアラーの総合相談窓口を設置する。

ゆたかなコミュニティを創成

  • 府と市町村が連携して商店街を地域コミュニティの拠点として再生・活性化する。(買物難民への対応、住民が集い語らう場の創出)
  • コミュニティソーシャルワーカー(※用語解説)を増強して生活困窮者への伴走型自立支援を推進する。
  • 公共施設(区役所・図書館や廃校跡地など)を活用して誰でもいられる「居場所」、地域コミュニティの拠点を整備する。

DXで行政サービスをアップデート

  • 誰もが使える情報テクノロジーを活用して行政手続きを簡素化し、行政サービスを必要なとき、必要なところに届けられるようにする。

6. だれもが大切にされるまちへアップデート

女性の就業率:大阪府は45位。日本のジェンダーギャップ指数146か国中116位。

<図5>女性の就業率

(データ)「国勢調査」2015年

定住外国人:大阪府は246,157人。大阪市は138,748人。(2021年)

(データ)大阪市HP
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000431477.html#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C3%EF%BC%882021%EF%BC%89%E5%B9%B4,%E6%9C%80%E5%A4%9A%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

(データ)大阪府HP
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/33027/00000000/2021_kokuseki_betsu.pdf

世界基準の人権尊重

  • 国に先駆けて人権が世界基準で尊重される都市を目指す。
  • 行政制度・行政サービスに多様な家族形態の視点を入れる。
  • 施策立案の段階から障がい者や外国人の視点を入れる。
  • 点字ブロック周辺の路面を整備する。
  • 「ユニバーサルデザイン」の推進など、社会的弱者の目線からのまちづくりを進める。

女性がいきいきと働き、暮らせるまち

  • 女性が活躍する都市の実現に向け、男女の給与格差を是正し、女性の管理職比率30%以上をめざす。まず府庁・市役所から。
  • 家事や子育てとの両立を支援する企業や女性を積極的に登用する企業に対するインセンティブ制度を構築する。
  • 府営住宅・市営住宅や空家を活用したシングルマザーへの居住支援を進める。

多文化が共生する国際都市

  • 多文化共生の伝統を活かし、大阪を世界に開かれた国際都市に。

7. 大阪の魅力をアップデート

活かされていない大阪の魅力(古典芸能、食、府内各地の魅力)

「本物」にふれることのできるまち

  • 国内外から大阪の文化芸術やものづくりなど大阪の魅力に接する体験型ツーリズムを展開する。
  • 市町村と一体となって府内各地域の魅力を発掘し国内外に発信する。
  • 文楽、交響楽団、小劇場等への支援を進め幅広い豊かな文化を育てる。
  • 一流の美術への親近感を深めるため美術館内での写真撮影や模写等の規制を緩和する。
  • 官民の会場を活用したナイトミュージアムを展開する。
  • 美術館や博物館などを小中高生には無料にし、「本物」にふれる機会を提供する。

ごみ排出量が全国に比べて多く、一般廃棄物のリサイクル率も全国に比べて低い。
リサイクル率→全国19.6%大阪13.1%(2019)(データ)「おおさかの環境2019」

エコでクリーンな都市

  • 官民学のプラットフォームを構築し省エネ日本一都市をめざす。
  • 大阪の一般廃棄物のリサイクル率をアップし、ごみの減量日本一をめざす。
  • 大規模公園等での樹木伐採を止め、樹木を増やしてCO2削減を進める。

8. みんなで決めるまちへアップデート

  • 大阪市から目標を失わせた広域一元化条例
  • 政令指定市で唯一総合計画を策定していない都市・大阪市。
  • 都心中心主義(大阪市内偏重)にのめりこむ大阪府

広域行政をアップデート

  • 府と市町村との役割分担と連携で大阪府域全体の発展を創出する。 →基本は住民に身近な市町村の充実・強化と大阪府のバックアップ。
  • 関西広域連合に積極的に参加し、国からの権限移譲と関西経済圏全体の活性化プランを構築する。
  • 知事と市長会、町村長会とが定例的に意見交換を行う場を設置する。
  • 府民の意見をきくための「府政にいいたいこと」システムを構築する。

大都市行政をアップデート

  • 広域一元化条例、市から府への事務委託廃止し大阪市自ら都市計画を決定する。
  • 政令指定都市の京都市・神戸市・堺市と連携して関西都市圏を形成する。
  • 大阪のまち全体を3Dデジタル化。都市計画から身近な地域課題まで、テクノロジーを活用して住民参加のまちづくりを推進する。
  • 大阪市は政令指定都市では唯一総合計画を策定していない。市民参加で総合計画「未来をともにひらく大阪プラン(仮称)」を策定する。

【用語解説】

ESG

環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。温暖化など環境問題、取引先の労働問題など社会問題、不祥事など企業統治の問題が経済の持続可能性に悪影響を及ぼすとの認識から、ESGを投資判断の際に考慮することが推奨されている。

コミュニティソーシャルワーカー

コミュニティソーシャルワーカーとは、地域コミュニティをベースにした社会福祉活動を行う人のこと。地域で支援を必要とする人に対して、行政の制度はもとより地域の人材やサービスをつなぎ、地域にあるさまざまな資源を組み合わせコーディネートして支援する役割を担う。

レジリエンス

災害が発生した後にすみやかに回復できる力、災害をしなやかに乗り切る力のこと。強靭性、回復力とも訳される。

ヤングケアラー

本来大人が担うような家族のケア(家事、高齢者や兄弟の世話、介護など)を引き受けている子どものこと。

ジェンダーギャップ指数

世界経済フォーラムが発表している指数で、経済(賃金の男女格差・管理職の男女比など)、政治(国会議員・閣僚の男女比など)、教育(各レベルの教育就学率の男女比など)、保健(健康寿命の男女差など)の4分野の統計データから算出される。